ブラケットの溝(スロット)の中に入れて、歯を動かす力を与えるのが、ワイヤー(アーチワイヤー)です。
ワイヤーは、主に金属で作られており、その組成によって様々な性質を示します。
治療の初期に使われるワイヤーの一つに、形状記憶合金があります。
主な組成は、Ni(ニッケル)とTi(チタン)で、ワイヤーがグニャグニャに曲がっても元の形に戻ろうとする性質があります。
治療の後半に使用されるのは、硬い性質のワイヤーで従来からステンレススティールが頻繁に使用されております。
このワイヤーは、手でワイヤーを曲げることができ(永久変形)、様々な作用を個々の歯に与えるよう調整することが可能です。

その他にも、チタンやモリブデン
を使用した合金も硬いワイヤーの性質を持ちながら、歯を並べることができるといった特殊なワイヤーも治療の後半に使用されることがあります。
ワイヤーは、断面の形によっても発揮する力の強さや程度が変わってきます。
治療の初期は、比較的軟らかい力を発揮する「円い」断面のワイヤー(ラウンドワイヤー)が使われ、正方形(スクエアワイヤー)や長方形のワイヤー(レクタンギュラーワイヤー)など四角い断面のワイヤーは比較的治療が進んでから使用されることが多いです。
近年、各メーカーから金属をコーティングした「白いワイヤー」が発売されてきました。
見た目を改善し、矯正治療をより身近なものにする努力がなされております。
現在でもワイヤーを使用しない装置で治療する方法が適応になる患者様向けに行われておりますが、近い将来は、ブラケットやワイヤーの全くない矯正治療法が全ての方で行える日が来るかも知れませんね。
次回は、ブラケットとワイヤーを留める様々な器具についてお話致します。